消費税と寄附金の関係 <第1回>
消費税と寄附金の関係
寄附金は、対価性(反対給付)のない一方的な金品、役務提供等の贈与、供与とされています。
一方、消費税は、事業者が対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供を課税対象としています。
したがって、一方的な贈与である寄附金には対価性がないことから、資産の譲渡等には該当せず消費税の対象にはなりません。
具体的な例
例1 母校に現金100,000円を寄付した。
金品の贈与ですので、仕入税額控除の対象になりません。
(借方) 寄附金 100,000 (貸方) 現金 100,000
例2 車両を2,200,000円で購入して介護施設に寄附した。
購入の対価ですので、仕入税額控除の対象になります。
個別対応方式による用途区分は、共通対応に該当します(基通11-2-17)。
(借方) 寄附金 2,000,000 (貸方) 現金 2,200,000
仮払消費税 200,000
税務調査による否認事例
■ 支払手数料300,000円に役務提供の実態がないとして、税務調査で寄附金認定された。
【法人税】支払手数料に役務提供の実態がないことから、対価性がなく寄附金になります。
(修正申告上の処理 / 寄附金の損金算入限度額計算、仮払消費税30,000円を所得減算)
【消費税】対価性がないことから、仕入税額控除の対象になりません。
(修正申告上の処理 / 消費税30,000円の追徴)
<申告仕訳>
(借方) 支払手数料 300,000 (貸方) 現金 330,000
仮払消費税 30,000
<正当仕訳>
(借方) 支払手数料 330,000 (貸方) 現金 330,000
例外
消費税では、寄附金は対価性がないことから不課税取引とされています。
しかしながら、通常の取引価額(時価)を上回る部分について寄附金認定された金額は、課税取引になります。次回ブログで説明します。