有価証券譲渡に係る内外判定
内外判定
有価証券の譲渡した場合の内外判定は、「有価証券が所在していた場所」によって判定します。また、株券等の電子化により券面がなくなり有価証券の所在場所での判定が困難な場合は、消費税法施行令6条1項10号に規定する「資産の所在場所が明らかでないものの内外判定」により「その譲渡等を行う者の事務所の所在地」で判断することとされていました。
平成30年度の税制改正により、①券面のない有価証券を振替機関等が取扱う場合は、振替機関等の所在地、②券面のない有価証券で振替機関等が取扱わない場合(ex.非上場株式等)は、その発行法人の本店、主たる事務所その他これに準ずる所在地、で判定することになりました(消令6①九ハ、ニ)。
税制改正後(平成30年4月1日以降)の取扱いを整理すると次のようになります。
区分 | 内外判定基準 | |
振替機関等が取扱うもの | 振替機関等の所在地 | |
振替機関等が取扱わないもの | 券面あり | 有価証券の所在地 |
券面なし | 有価証券等の発行法人の本店、主たる事務所その他これらに準ずる所在地 |
税制改正前後で取扱いが異なるケース
内国法人が券面のない非上場外国法人の株式を譲渡した場合の内外判定はどうなるのでしょうか。税制改正後は、上記②に該当し、「株式等の発行法人の本店等の所在地」で判定することから、国外取引になります。税制改正前は、「譲渡等を行う者の事務所の所在地」で判定するため、国内取引となり、非課税売上げとして「譲渡対価×5%」を課税売上割合の分母に算入する必要がありました。
振替機関等とは
振替機関及びこれに類する外国の機関をいいます。国内においては、証券保管振替機構(略して「ほふり」)及び日本銀行が該当します。これに類する外国の機関とは、各地域に設立されている振替機関などが所属する協会(いわゆるCSD協会)に加盟する各振替機関(清算機関を除く)及び外国の中央銀行が該当します。
証券保管振替機構は、株券などの有価証券の保管、受け渡しを簡素化することを目的として設立された日本で唯一の振替機関です。2009年1月施行の「社債、株式等の振替に関する法律」により、株券等がすべて廃止され電子化されたため、株券等の存在を前提として行われてきた株主等の権利の管理(発生、移転及び消滅)を、証券保管振替機構及び証券会社等に開設された口座で電子的に行っています。