税務書類の押印廃止
押印不要となった背景
令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降、様々な税務書類の押印が不要になりました。
コロナ禍で国の給付金を巡り、オンライン申請が混乱するなどデジタル化が遅れている実態が露呈したため、政府はデジタル化推進を打ち出しました。さらに、押印が在宅勤務やリモートワークの妨げになっているとして、令和2年11月に行政手続きで必要な押印を廃止する方針を示したことが発端です。
税務書類に関しては電子申告(E-tax)が主流になってきているとはいえ、負担軽減になるのは間違いないと言えます。
押印の必要な税務書類
但し、次の書類については、引き続き押印が必要です。
1 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を
求めている書類
2 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち、財産の分割の協議に関する書類
印鑑の歴史
印鑑は、今から5千年以上前のメソポタミア地方に起源があるとされています。その後、世界各地に広まり、日本へは中国を経て伝わりました。日本で最古の印鑑は、天明4年に北九州で発見された「漢倭奴国王」と刻まれた金印です。
印鑑は律令時代に根付きましたが、戦国時代には花押(いわゆるサイン)が主流になりました。江戸時代には庶民にも印鑑が広まり、明治6年10月1日の太政官布告で実印を押印する制度が定められ、それを記念して10月1日を「印章の日」としています。
企業や行政の決裁文書など社会に広く定着しましたが、人口減少などにより印鑑の出荷量は、20年前の約60%までに落ち込んでいます。そこに追い打ちをかけるようにコロナ禍で一気に「脱印鑑」の動きが進むなか、印章業の盛んな山梨県では、令和2年10月に県議会が政府に対し印鑑制度の維持を求める意見書を全会一致で可決しました。