株式購入手数料の個別対応方式に係る用途区分 <第1回>

株式購入手数料の課否判定

 株式の購入は、消費税法上、非課税仕入れになりますが、その際に支払う手数料は、役務提供の対価なので課税仕入れに該当します。それでは、次の段階として、手数料の個別対応方式に係る用途区分はどうなるのでしょうか。

売買目的の場合(財テク等)

 売買目的で株式を購入する際に支払う手数料等の用途区分は、株式譲渡が非課税売上なので、何の疑問もなく「非課税売上対応」と即答しそうです。確かに国内に所在する株式を購入する場合はそのとおりですが、国外に所在する株式を購入する際の国内手数料は「課税売上対応」になります。国外に所在する株式については、直感的には分かりづらいので次回ブログで説明します。

保有目的の場合(企業支配等)

 企業買収で株式を購入する際に支払う手数料、顧問料及びデューデリ費用の用途区分は、どうなるのでしょうか。企業買収に係る株式取得は、企業支配のために行われたものであり、あくまでも「保有目的」なので、「非課税売上にのみ要するもの」又は「課税売上にのみ要するもの」と特定することができません。そのため、「共通対応」に区分されると考えられます。この場合、税務調査に備え、株式購入の目的や経緯を、契約書、公表資料、議事録及び稟議書等で明らかにしておくことが必要です。

一覧表に整理すると

株式の取得目的手数料等の用途区分
売買目的(財テク等)国内所在の株式非課税売上対応
国外所在の株式課税売上対応
保有目的(企業支配等)共通対応