株式購入手数料の個別対応方式に係る用途区分  <第2回>

 前回ブログからの続きです。

 国外に所在する株式を購入する際の、国内手数料の個別対応方式に係る用途区分は、「課税売上対応」になります。何かピンときませんね。国外に所在する株式の譲渡は、国外取引のため不課税となることから「共通対応」と考えてしまいそうです。

 条文を見ていきましょう。消費税法2条1項9号では、「課税資産の譲渡等」とは、「資産の譲渡等のうち消費税法6条1項の規定により非課税とされるもの以外のものをいう」とされており、同規定では「国内において行われる資産の譲渡等のうち別表第一に掲げるものが非課税」としています。すなわち、「課税資産の譲渡等」とは、資産の譲渡等のうち非課税となる国内取引以外のものをいい、譲渡等の場所が国内、国外を問わないことになります。

 したがって、国外において行う資産の譲渡等は、すべて「課税資産の譲渡等」に該当します。そうすると消費税法30条2項1号イに規定する「課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ」に該当し、国内手数料の消費税額の全額が仕入れ控除の対象になります。すなわち、個別対応方式を適用して国外において行う資産の譲渡等のために国内で行った課税仕入れについて用途区分をする場合には、「課税売上げにのみ要するもの」に区分されます(消基通11-2-13)。

 なお、国外に所在する株式の譲渡は、国外における課税資産の譲渡等になることから、不課税取引に該当します。

 株式の所在地が国内か国外かの判定、すなわち有価証券譲渡に係る内外判定は、平成30年度に一部税制改正がありましたので、次回ブログで説明します。